どんな検査があるの?

現在、HIV/エイズを診断するために、いろいろな場所で、様々な種類のHIV検査が行われています。このため、「自分は、いつ、どこで、どんな検査をすればいいのだろう?」と、迷う人も多いと思います。ここでは、みなさんが受けることのできる、各検査のポイントを解説します。まずはHIV検査の種類を知るために必要な、検査の基本から説明していきましょう。

1. 知っておきたいHIV検査の基本

一般的に、HIV感染症を診断する時には、「スクリーニング検査」と「確認検査」の2段階の検査が行われています。

HIV感染症を疑ったときに、まず行われる検査が「スクリーニング検査」です。この最初の段階の検査では、できる限り見落としのない検査方法が選ばれています。その一方で、スクリーニング検査では、本当は感染していないのに、陽性(感染している)という結果がでてしまうことがあります。(このような誤った陽性のことを「偽陽性(ぎようせい)」と呼んでいます。)

そのため、「スクリーニング検査」で陽性(感染あり)と判断されただけでは、HIV感染と診断が確定されたわけではありません。次の段階として、「確認検査」と呼ばれる検査によって、本当に感染しているのかを再確認する必要があるのです。

2. 即日検査について

「スクリーニング検査」の中には、採血した同じ日に検査結果を知ることができるものがあります。このように、採血当日に結果がわかる検査を「即日検査」と呼んでいます。
スクリーニングで陽性だった場合に行われる「確認検査」は、その結果がわかるまでに1週間以上かかることが一般的です。したがって、「即日検査」を受けても、感染についての最終的な判断には、ある程度の日数を待つ必要があります。

したがって「即日検査」を行っている施設やイベント検査では、「スクリーニング検査」で陰性(感染していない)とわかった場合には当日結果がわかります。しかし、陽性であった場合には、「確認検査」の結果がでるまでの間は最終判断を待つことになります。

3. プレ検査とは何か?

最近は、本人が自宅で採血して検査機関に郵送するなど、新しい種類の検査も増えてきています。このような検査方法は、検査を希望する人に、より活用しやすい検査を提供することを目的に行われています。これまでの一般的な検査と比べると、検査を受ける便利さなどでは利点がありますが、あくまでも通常検査の前に感染の可能性を調べるための「プレ検査」となります。したがって、「プレ検査」で感染が疑われた場合には、早めに通常の検査を受けて、感染についての再確認をする必要があります。「プレ検査」は、今のところ研究や民間業者などによって行われており、それぞれの検査の特徴や問題点を理解して、自分に合った適切な検査を受けることが大切です。

4. 梅毒の検査について

日本では梅毒の流行が続いており、社会的にも大きな問題となっています。このような現状もあり、病院や診療所だけでなく、保健所などの他の検査でも、HIV検査と同時に梅毒の検査にも対応している施設が増えています。梅毒の検査も希望する場合には、あらかじめ各検査施設のホームページなどで調べておきましょう。また、「HIV検査・相談マップ」でも、各保健所における梅毒の検査対応についても掲載しているので参考にしてください。

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5. 代表的なHIV検査

現在、国内で行われている代表的なHIV検査には、以下のようなものがあります。

6. 各検査について知っておきたいポイント

ここでは、病院や診療所を除く、代表的な各検査のポイントをまとめます。

保健所での検査

保健所で行われているHIV検査は、「無料・匿名」で受けることができます。検査費用もかからず、自分の名前や住所を伝える必要がないのです。そして、「スクリーニング検査」だけでなく、「確認検査」も行っているので、最終的な診断まで確定することが可能です。さらに、感染していることがわかった場合には、その後の治療を受けられる専門病院も紹介してくれます。また、検査時や結果説明の際に、いろいろな質問や相談をすることもできます。

検査日や検査時間、予約の必要性、梅毒検査の有無などは、各保健所によって異なります。 「HIV検査・相談マップ」のホームページでは、検索によって各地域における保健所の検査体制を知ることができます。ぜひご利用ください。

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特設の検査所

保健所以外にも、東京の「南新宿検査・相談室」などのように、自治体などによって設置されている特設の検査施設もあります。これらの検査所の多くは、保健所と同じような検査の対応を行っています。「HIV検査・相談マップ」のホームページでは、このような特設の検査施設についての情報も掲載しています。

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イベントなどの検査会

各地で、即日検査、夜間検査、ゲイ向け検査、女性向け検査など、いろいろなイベント検査が行われています。開催される場所や時間、検査の対象者などについては、地域における広報、あるいは「HIV検査・相談マップ」のホームページで紹介されるイベント情報などを参考にしてください。

> 検査イベント情報

プレ検査|郵送検査

民間の会社などが行っている「プレ検査」です。インターネットのページから検査の申し込みをするタイプが一般的です。申し込み後には検査キットが送付され、それを使って自分で採血をしてから返送します。検査結果は自分だけがわかるように工夫されているのが基本となっています。

「プレ検査」であるため、この検査でHIV感染が疑われた場合には、病院や診療所、あるいは保健所などの施設で、感染の有無を確定するための検査を受ける必要があります。

都合の良い時間と場所で検査を受けられ、他人と対面することなく受検できることなどが、検査を受ける人にとっての利点となります。その一方で、複数の会社が行っており、「それぞれの検査の信頼度が会社によって大きく異なる」という問題点があります。その中には、検査の精度が不十分なまま運用されているものが含まれているため注意が必要です。また、HIV検査の結果は、本人のみに知らされるべきですが、性風俗などの団体検査では、その結果を雇用者にわかってしまうこともあり、大きな問題となっています。

参考に「優良な郵送検査」と判断される条件をあげておきましょう。

  • 検査の結果が他の人に知られることがない
  • 第三者による検査精度のチェックが定期的に行われている
  • HIV感染症の基本的な知識などの必要な情報が、わかりやすく提供されている
  • 検査方法や結果について困った場合には相談できる窓口がある
  • 確認検査を受けられる保健所や医療機関に関する情報や連携システムがある

プレ検査|HIVcheck

研究班の主導によって行われている「プレ検査」で、ゲイ男性を対象とした検査となっています。コミュニティーセンターで受け取った検査キットを持ち帰り、自分で採取した血液を郵送します。検査結果はネットで確認して、その後の確認検査を受ける医療機関を予約することもできます。検査キットを受け取る場所では、支援団体の担当者との相談体制も準備されています。